青春時代の夏のあくる日と、かにかま。
かにかまと言えば、かに風味のかまぼこ。そう思っていた時期が私にもありました。
だがしかし。
高校時代の友人のせいで、私にとってのかにかまは、それまでと全く違う存在になってしまったのです。
そう、あれは夏のあくる日でした。吹奏楽部に所属し、トロンボーンを担当していた私は、いよいよ間近に迫ったコンクールに向けて、中庭で部活仲間と共に練習に打ち込んでいました。
木製のベンチにメトロノームを置いて、楽器を構え、黙々と音を伸ばしていたそのとき。
ふと、右の二の腕に痒みを覚えました。
これは、もしや。
楽器を下ろし、自身の二の腕を覗き込むと、やはり。小さな、赤くぷくりと腫れた部分が見当たりました。
それを同じく覗き込んで確認した友人は一言。
「あ、かにかまやん」
蚊 に 噛 ま 。
それからというもの、私にとってのかにかまは「蚊に噛ま」です。
今後暖かさを増す季節に向けて、語彙の一つとしてお役立て下さい。