ゆとろぐ。

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高田大介『図書館の魔女』全四巻の感想を熱く語る。

  鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトは、王宮の命により、史上最古の図書館に暮らす「高い塔の魔女」マツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声を持たないうら若き少女だった。超弩級異世界ファンタジー全四巻、ここに始まる!第45回メフィスト賞受賞作。amazon紹介文より引用)

 ただただ夢中になって読み終えました。
 ファンタジー小説特有の、最初は世界のことも知らず、主人公のことも知らず、登場人物達のことも、これからどんな風に物語が展開していくのかも、全てがわからない状態から、少しずつ世界を知り、一人一人を知り、物語が流れに乗り始めてついには止まらなくなっていき、最終的には何もかもが怒涛の勢いで結末に雪崩れ込んでいく感覚を、久しぶりにじっくりと味わいながら読みました。

 ファンタジーが好きな人は勿論のこと、歴史小説が好きな人も、じれったい恋愛小説が好きな人も、安楽椅子探偵ものが好きな人なんかもどっぷりハマって読めるんじゃないでしょうか。
 というよりは、この小説の主軸は「言葉」なので、本を読むのが好きな人なら誰でものめり込んで読める小説だと思います。

 

以下、感想。

 とにかく、キリヒトとマツリカの仲が少しづつ深まっていく様子が良いです。互いが互いにとってまだ何者でもない初対面の間柄から、時の流れを経て唯一の誰かになっていく様子というのは何ともいえず良いものです。
 勿論物語なので、キリヒトとマツリカが縁を深めていくのには必然性があります。が、そういう設定上の必然性だけじゃなくて、ただ一緒に過ごした時間によって特別になっていく様が描かれているので、それが本当に良いです。それはもう良いです。
 必然性の部分もなお良いですが。ICOを彷彿とさせるアレが‼︎ アレがね‼︎

 主人公達のみならず、登場人物は全員魅力的です。それぞれに鮮烈な魅せ場が用意されているからこそ、読んでいる側がぐいぐい引き寄せられていくわけです。つまりはカッコイイ場面が凄く多いです。怒涛です。
 とはいえ、何とも表現し難いのですが、魅せ場が用意されているからカッコよく見えるのではなくて、その人がそこに居たから場が動いたという感が強いのです。その人のその人格があり、時機がありの「そのとき、歴史が動いた」なのです。
 そうなると全ての立役者であるマツリカの尋常ならざる慧眼が際立つわけで、書名に偽りなし。魔法を使わなかろうが、確かに魔女の物語です。

 歴史を変える瞬間のような鮮やかな場面だけでなく、ほんの少し交わした言葉や仕草やぬくもりが、前を向く支えになる様子にも、とても心を動かされました。
 言葉が意味なのではなく、意味が言葉の本質だということを、そうした場面の描写一つ一つが語っていたような気がします。こぼれる涙も、手を包むぬくもりも、相手方に意図が伝わるなら、それ自体が言葉の一つなんだなと感じました。

 

これ、デビュー作らしいですよ。

 裏書見て慄きました。まさかのデビュー作だそうです。しかも1968年生まれだそうです。2010年の発表時でおいくつだったのか。数えで42歳か。驚きに打ち震えます。
 凄く教養に満ち溢れた物語だったので、随分年上の人が書いてても全然おかしくないんですけど、なんだか凄く等身大で面白かったんですよね。だから年齢を計算してほんとびっくりしました。
 感性が若いというか、若いだとちょっと語弊があって、三十代とか四十代でも、十代とか二十代の頃があって、感動や面白さを感じるポイントはちゃんとその頃と地続きになってるんだなーって思いました。なんとも表現しがたいんですけれども。

 とりあえず、こんな面白い小説が突然デビュー作として世の中にぽんと出たりするんだから長生きしなきゃですね‼︎
 面白い小説読むと生きててよかったって思いますよね‼︎

 というわけで、すっごく面白いので是非是非読んでみて下さい。
 おわり。

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