ゆとろぐ。

1991年生まれのゆとり世代の雑記ブログ。

有川浩のおすすめ小説『旅猫リポート』と『県庁おもてなし課』を紹介する。

 本日も、ベッドの中からこんにちは。テンピュールマットレスが家宝の本の虫です。
 同じく本の虫の皆さんなら、きっとうちもうちも! と共感して頂けると思うのですが、棚に入りきらない本が大量に平積みされて、その平積みの高さがついにベッドで寝ている私の顔より高いところまできてしまいました。もしも地震が起きたら、私の死因は本による窒息死でしょう。
 本は好きなのですが本で死ぬのは困るのと、本棚を買うより断然安価だったのでこの一年ほどはKindleを愛用しています。

 さて、今回はそんな本好き人間が、とりわけ好んで読んでいる作家・有川浩の小説を延々と紹介する記事です。ほとんど全部読んでるぐらい好きです。県庁おもてなし課聖地巡礼で馬路村に旅立つぐらいは好きです。(→詳しくはこちら
 ぐいっと読ませる引きがあって、起承転結が明確で、ハッピーエンドが多くて、登場人物に人間味があって安心して入り込める、そんな小説が読みたい方は、是非是非有川さんの小説を読んでみてはどうでしょうか。

 有川さんの小説はどれもそれぞれ好きなので、書きたくなる毎にちょいちょい書き足していきますね。都度記事タイトルも変わると思います。
 何から読もうか迷う人も、一冊毎に毎回テーマががらっと変わるので、あらすじで興味を引かれたものが一番面白く読めると思いますよ〜!

 

旅猫リポート

野良猫のナナは、瀕死の自分を助けてくれたサトルと暮らし始めた。それから五年が経ち、ある事情からサトルはナナを手離すことに。『僕の猫をもらってくれませんか?』一人と一匹は銀色のワゴンで“最後の旅”に出る。懐かしい人々や美しい風景に出会ううちに明かされる、サトルの秘密とは。永遠の絆を描くロードノベル。amazonの紹介文より)

 我輩は猫である
 そんな書き出しから始まる猫の小説をご存知ですね。この旅猫リポートも、猫の一人称で始まる冒頭から、物語が進んでいきます。
 若くて賢くて自分に自信たっぷりの雄の野良猫が、ひょんなことで一人暮らしのサトルの飼い猫になり、ナナという名前を授かります。この、ナナがサトルの飼い猫になった経緯が開幕およそ10ページで語られるのですが、猫好きな人が読むとまずここで泣きます。私は号泣でした。
  ナナは賢く、サトルは猫の扱いに長けていて、一人と一匹はたいへんうまくやっていたのですが、やむを得ない事情でサトルはナナを手放すことになります。この小説は、サトルがナナを手放すための旅の物語です。

僕は何にも失っていない。ナナって名前と、サトルと暮らした五年間を得ただけだ。(本文冒頭部より)

 ナナは賢すぎるぐらい賢い猫で、サトルがやむを得ない事情で自分を手放そうとしているのを重々承知しています。そして、五年過ごしたサトルと別れるのではなく、サトルと暮らした五年間を得た、と受け止めます。
 ナナのプロローグでの独白によって、この旅が失うための旅ではなくて、得るための旅だと定義付けされて、読者と共有された上で、一人と一匹の旅が始まります。

 サトルはナナが今後も幸せに暮らしていけることを望んで、里親になってもいいと言ってくれた友人達のところを訪ねていきます。
 友人達との過去の思い出から垣間見えるサトルの人間性にはじんわりほっこりし、出会う人間達を鋭く分析するナナの猫らしさたっぷりの批評には思わず吹き出してしまいます。

 あたたかく、笑って泣けて、猫の魅力がたっぷり詰まった一冊です。
 猫好きはもちろん、猫が好きじゃないあなたも、読んでしまったらうっかり猫好きになること間違いなし。是非是非手にとってみて下さい。(ただし電車内で読み始めないこと!)

 

県庁おもてなし課

とある県庁に生まれた新部署「おもてなし課」。若手職員の掛水史貴は、地方振興企画の手始めに地元出身の人気作家・吉門に観光特使を依頼する。が、吉門からは矢継ぎ早に駄目出しの嵐―どうすれば「お役所仕事」から抜け出して、地元に観光客を呼べるんだ!?悩みながらもふるさとに元気を取り戻すべく奮闘する掛水とおもてなし課の、苦しくも輝かしい日々が始まった。地方と恋をカラフルに描く観光エンタテインメント。amazonの紹介文より)

  超スーパーインドア派人間をはるばる高知県馬路村まで聖地巡礼に行かせた奇跡の小説がこれ。(→聖地巡礼の記事はこちら
 高知県は、自然以外は何にもないただのド田舎なのか、それとも観光資源に満ち溢れた希望の土地なのか。高知県庁に実在する「おもてなし課」をモデルにした、「観光立県」がテーマのお仕事小説です。

 さて、何をすれば観光客が来てくれるようになるでしょうか?
 ゼロスタートから何とか一つ企画を打ち出し、よろよろと舵をとるおもてなし課。しかし、観光特使として声をかけた高知県出身の作家・吉門に、それはもうぼろっくそに情け容赦なく駄目出しを食らってしまいます。その直撃を受けた若手職員の掛水は、一瞬めげかけつつも、真正面から「もしまた何かありましたらいつでもご意見ください!」と食らいつきます。
 それが縁となって、吉門と掛水を中心に観光企画が少しずつ前へ動き出すのが物語の始まりです。

 『県庁おもてなし課』は、ど正道のお仕事小説である一方で、とびっきりのやきもき感を味わえる恋愛小説でもあります。
 掛水は、新たにおもてなし課の助手に入った多紀の清々しい立ち居振る舞いに惹かれていきますが、掛水も多紀も真面目で責任感に溢れた性格が災いしてか、恋の進行は仕事以上の難航っぷり。
 一方吉門は、遠い昔に高知に残してきた義理の妹佐和との間に、複雑な関係性を持っているようですが、これがまた吉門の複雑怪奇な捻くれ具合のせいでしょう、一体どう転んでどこに落ち着くのやら、はらはらする展開が待っています。

 出てくる登場人物達は一人一人魅力が掘り下げられていて、仕事の運びも恋愛模様も目が離せません。また、「お役所」と「民間」それぞれの視点が織り合わさって、理解を深めて馴染んでいく様子も、面白くて読み応えがあります。
 これを読んだら思わず高知県に(とりわけ馬路村に!)旅行に行きたくなること間違いなし! 是非是非一度読んでみて下さい。

 おわりっ。

個人的に全力でおすすめできる感動の青春小説5選!

 いつか絶対やろうと思っていた「私的小説○○選!」記事の第一弾です!
 子供の頃から一にも二にも読書が好きで、暇さえあれば小説ばっかり読んでました。大衆娯楽小説的なものであれば何でも好きで、今回取り上げる青春小説ももちろん、推理小説歴史小説も恋愛小説もライトノベルもごちゃまぜに大好きなので、今後もがんがんおすすめ小説を紹介していく所存です。

 さて、今回の「青春小説」というジャンルですが、今回の記事では「若者が何か一つの目標に向けて頑張ってる!」という小説を、独断と偏見にてご紹介します。
 お、そういう小説好きだぞ、という人で、読んだことないものが一つでもあれば、全部全力でおすすめなので、是非是非一度読んでみて下さい。

 

チア男子‼︎ / 朝井リョウ

大学1年生の晴希は、道場の長男として幼い頃から柔道を続けてきた。だが、負けなしの姉と比べて自分の限界を悟っていた晴希は、怪我をきっかけに柔道部を退部する。同時期に部をやめた幼なじみの一馬に誘われ、大学チア初の男子チームを結成することになるが、集まってきたのは個性的すぎるメンバーで…。チアリーディングに青春をかける男子たちの、笑いと汗と涙の感動ストーリー。(amazonの紹介文より)

 ウォーターボーイズとかスウィングガールズとか好きな人は確実にハマります。
 紹介文だけでも葛藤多そうな主人公だと一目でわかりますが、主人公以外の個性的すぎるメンバー達もとにかく葛藤してます。嫉妬と羨望の入り混じり具合とか、意識高い系と意識低い系それぞれの反発とか、その辺の細やかな内面描写が必見です。
 って書くと凄くどろどろしてるみたいですが全然です。笑えるところもあるし、読み口はすっきり爽やかです。ちょっとチアの技名とかにも詳しくなれます。
 なお、早稲田大の男子チアリーディグ部SHOCKERSが取材元だそうです。めっちゃくっちゃカッコイイので、読んで動画を観るor動画を見て読むことをオススメします!(→SHOCKERS公式サイト

 

風が強く吹いている / 三浦しをん

箱根駅伝を走りたい――そんな灰二の想いが、天才ランナー走と出会って動き出す。「駅伝」って何? 走るってどういうことなんだ? 十人の個性あふれるメンバーが、長距離を走ること(=生きること)に夢中で突き進む。自分の限界に挑戦し、ゴールを目指して襷を繋ぐことで、仲間と繋がっていく……風を感じて、走れ! 「速く」ではなく「強く」――純度100パーセントの疾走青春小説。(amazonの紹介文より)

 ほぼ初心者集団が一年で箱根駅伝への出場を目指すというストーリーで、ウォーターボーイズとかスウィングガールズとかチア男子‼︎ とか好きな人は(以下略)
 「走る」って題材は、スポーツの中でも凄く小説向きな感じがします。動きの描写が煩雑にならない分、内面描写に字数が割けるんだろうな、と。
 私のように運動しない人間からすると、「走る」って楽しいのか? って思ったりもするんです。が、この本を読んでいると、ああ、こんな風に楽しいんだな、熱くなるんだな、と何かちょっと見える気がして興味深いし面白い。
 陸上初心者どころか運動初心者みたいなメンバーも居る中で、一年で箱根駅伝を目指すっていう点ではトンデモ設定ですが、それをおしても面白い小説です。

 

大きな音が聞こえるか / 坂木司

退屈な毎日を持て余す高1の泳。サーフィンをしている瞬間だけは、全てを忘れられる気がした。そんなある日、泳は“終わらない波”ポロロッカの存在を知る。「この波に乗ってみたい―」。こみ上げる想いに、泳はアマゾン行きを決意する。アルバイトや両親の説得を経て、退屈な日常が動き出す。降り立った異国が出会ったのは、様々な価値観と強烈な個性を持った人々。泳はもがきながらも、少しずつ成長していき…。(amazonの紹介文より)

  主人公の泳が、アマゾン川を大逆流してのぼっていく大波、ポロロッカの存在を知り、サーフィンしてやるぞ! と決意して、実際に波乗りしにいくお話。まさかのアルバイトで資金調達から始まります。
 「ここまでしてアマゾン川、行きたいか?」と自問自答を繰り返すあたりに、わざわざ誰もやらないようなことをやろうとする若者の、リアリティある感情の動きが見て取れます。
 実は濡れ場があるんですが、すっごくオープンで爽やかで健康的な描写です。見知らぬ土地へ降り立った開放感とか高揚感とかが感じ取れる良い濡れ場ですよ!

 

天翔る / 村山由佳

札幌に住む看護婦の貴子は、学校に行けなくなった11歳の少女、まりもと知り合う。自分が通う牧場(ランチ)にまりもを誘うが、そこで待っていたのは、風変わりな牧場主と、エンデュランスという乗馬耐久競技だった。馬をいたわりながら、野山にめぐらされたルートをたどり、長距離を翔けぬける。競技に魅せられた者たちだけが見ることのできる世界とは? それぞれに喪失感を抱えた男女たちが生きることに向き合っていく感動作。(amazonの紹介文より)

 表紙買いしました。表紙の絵が綺麗。そんですごく本文の雰囲気を表してます。
 幼い少女が馬に乗る才能を開花させて、周りの大人達も皆でそれに協力して、世界最高峰のレースに参加して、というまるでシンデレラストーリーなんですけど、全然シンデレラストーリーじゃないあたりが好きです。
 まりもは初っ端からすごく生きづらい感じになってて、ストーリー半ばでそれは少しだけ解消されるんだけれども、たとえ馬の才能が凄くたってまりもの今後の人生の全てがうまくいくようにはならないし、でもレースに出たことで見た景色はこれ以上ないほど輝いてて、これが今後の人生の支えになっていくのも間違いないんだなと思える感じで、そういう諸々の微妙なニュアンスを全部ひっくるめて「生きるのに向き合う」みたいな話で面白かったです!
 伝えるの難しいので読んで下さい‼︎ 面白いから‼︎

 

幕が上がる / 平田オリザ

ある地方の高校演劇部を指導することになった女性教師が部員らに全国大会の出場を意識させる。高い目標を得た部員たちは恋や勉強よりも演劇ひとすじの日々に。演劇強豪校からの転入生に戸惑い、切磋琢磨して一つの台詞に葛藤する役者と演出家。彼女たちが到達した最終幕はどんな色模様になるのか。2015年2月に映画化する、爽快感を呼ぶ青春小説の決定版!(amazonの紹介文より)

 テーマは演劇、それも「高校演劇」です。はじめて知ることがたくさんで、高校生に戻ってどこかの演劇部を覗き見しているような気分に。地区大会と全国大会が年度を跨ぐから、全国大会にはまさかの三年生は出られないとか、鬼畜仕様ですね演劇部!
 主人公の演劇部部長さおりの、ほんわかしていて、でも繊細な着眼点の、青春小説らしい一人称で物語が進みます。学生演劇の女王、吉岡先生がそのカリスマ性で一気に生徒の心を掴んでしまうのも、高校の部活ってこう! 高校生ってこうだよな〜! と懐かしさでほっこり。
 部員一人一人の魅力が芝居の中に染み出していく過程に、じんわりと胸があったかくなって、感動する一冊です。


 さて、今回紹介した青春小説5選、いかがでしたか。
 どれも読んだことがある、面白かった! という人は私と趣味が丸かぶりなのでお友達になって下さい‼︎←

 
青春小説は読後感がすっきり、なんだか読んだ後若返って、よーし自分も頑張るぞーという気分になれるので良いですね。自分もオススメの青春小説ありますよ〜教えてあげてもいいですよ〜って人がいれば是非紹介して下さい。読みますので‼︎

 おわりっ。

高田大介『図書館の魔女』全四巻の感想を熱く語る。

  鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトは、王宮の命により、史上最古の図書館に暮らす「高い塔の魔女」マツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声を持たないうら若き少女だった。超弩級異世界ファンタジー全四巻、ここに始まる!第45回メフィスト賞受賞作。amazon紹介文より引用)

 ただただ夢中になって読み終えました。
 ファンタジー小説特有の、最初は世界のことも知らず、主人公のことも知らず、登場人物達のことも、これからどんな風に物語が展開していくのかも、全てがわからない状態から、少しずつ世界を知り、一人一人を知り、物語が流れに乗り始めてついには止まらなくなっていき、最終的には何もかもが怒涛の勢いで結末に雪崩れ込んでいく感覚を、久しぶりにじっくりと味わいながら読みました。

 ファンタジーが好きな人は勿論のこと、歴史小説が好きな人も、じれったい恋愛小説が好きな人も、安楽椅子探偵ものが好きな人なんかもどっぷりハマって読めるんじゃないでしょうか。
 というよりは、この小説の主軸は「言葉」なので、本を読むのが好きな人なら誰でものめり込んで読める小説だと思います。

 

以下、感想。

 とにかく、キリヒトとマツリカの仲が少しづつ深まっていく様子が良いです。互いが互いにとってまだ何者でもない初対面の間柄から、時の流れを経て唯一の誰かになっていく様子というのは何ともいえず良いものです。
 勿論物語なので、キリヒトとマツリカが縁を深めていくのには必然性があります。が、そういう設定上の必然性だけじゃなくて、ただ一緒に過ごした時間によって特別になっていく様が描かれているので、それが本当に良いです。それはもう良いです。
 必然性の部分もなお良いですが。ICOを彷彿とさせるアレが‼︎ アレがね‼︎

 主人公達のみならず、登場人物は全員魅力的です。それぞれに鮮烈な魅せ場が用意されているからこそ、読んでいる側がぐいぐい引き寄せられていくわけです。つまりはカッコイイ場面が凄く多いです。怒涛です。
 とはいえ、何とも表現し難いのですが、魅せ場が用意されているからカッコよく見えるのではなくて、その人がそこに居たから場が動いたという感が強いのです。その人のその人格があり、時機がありの「そのとき、歴史が動いた」なのです。
 そうなると全ての立役者であるマツリカの尋常ならざる慧眼が際立つわけで、書名に偽りなし。魔法を使わなかろうが、確かに魔女の物語です。

 歴史を変える瞬間のような鮮やかな場面だけでなく、ほんの少し交わした言葉や仕草やぬくもりが、前を向く支えになる様子にも、とても心を動かされました。
 言葉が意味なのではなく、意味が言葉の本質だということを、そうした場面の描写一つ一つが語っていたような気がします。こぼれる涙も、手を包むぬくもりも、相手方に意図が伝わるなら、それ自体が言葉の一つなんだなと感じました。

 

これ、デビュー作らしいですよ。

 裏書見て慄きました。まさかのデビュー作だそうです。しかも1968年生まれだそうです。2010年の発表時でおいくつだったのか。数えで42歳か。驚きに打ち震えます。
 凄く教養に満ち溢れた物語だったので、随分年上の人が書いてても全然おかしくないんですけど、なんだか凄く等身大で面白かったんですよね。だから年齢を計算してほんとびっくりしました。
 感性が若いというか、若いだとちょっと語弊があって、三十代とか四十代でも、十代とか二十代の頃があって、感動や面白さを感じるポイントはちゃんとその頃と地続きになってるんだなーって思いました。なんとも表現しがたいんですけれども。

 とりあえず、こんな面白い小説が突然デビュー作として世の中にぽんと出たりするんだから長生きしなきゃですね‼︎
 面白い小説読むと生きててよかったって思いますよね‼︎

 というわけで、すっごく面白いので是非是非読んでみて下さい。
 おわり。

石黒圭『語彙力を鍛える』を読んで、言葉について考えた。

 『語彙力を鍛える 量と質を高めるトレーニング』

語彙力を鍛える 量と質を高めるトレーニング (光文社新書)

語彙力を鍛える 量と質を高めるトレーニング (光文社新書)

 

しかし、語彙力のある人というのは、ただ単に「知っている言葉の数が多い人」ではない。「文脈に合わせて適切な語を選択する力を持った人」なのである。 (内容紹介より)

 題名に惹かれて手に取りました。読んで理解できる、という意味での語彙力はなくもないはずだと自負しているのですが、自由自在に使いこなせる、という意味での語彙力は貧弱の極みなもので、是非とも鍛えたい!

 著者は、国立国語研究所研究系日本語教育研究領域代表・教授をされている石黒圭氏です。ちなみに大阪生まれだそうです。本の中身は標準語です。

 内容としては三章立てです。

 第一章「語彙についての基礎知識」では、そもそも語彙とは何ぞや? という定義付けの話があります。

 第二章「語彙の「量」を増やす」では、言葉と言葉同士を関連付けることにより、効率良く語彙の量を増やすことを目的として、類義語・対義語、上位語・下位語、話し言葉・書き言葉などなど、様々な語彙体系についての紹介があります。

 第三章「語彙の「質」を高める」では、いつどのような場面でも、精度の高い語彙活用ができるようになることを目的として、誤用や誤解を生みやすい表現を避けるための方策、あるいは、よりふさわしい表現を選び出すための方策について触れています。

 読み終わった瞬間に語彙が爆発的に増える! ということはありません。が、必要な語彙を増やし適切に活用するためのものさしとして活躍してくれる本です。言葉が好きな人、言葉の勉強をしたい人、「文脈に合わせて適切な語を選択する力」を養いたい人にはとてもおすすめです。

面白がっている人のアウトプットは面白い。

 個人的には、新書の中ではクリーンヒットの面白さでした。

 読み終わった後、はて何で面白かったんだろうか、と考えてみたところ、一番の理由は著者の石黒氏が、言葉が好きで言葉を面白がっているのが伝わってきて、それがうつってくるからじゃないかな、と。

 語彙の定義付けやか種別やら用法やらを解説している本なので、内容としては堅苦しいはずなんです。でも、語り口が全然堅苦しくないです。きちんとわかりやすく説明してくれているのですが、それだけじゃなくて、「ほらこれ面白いでしょ」「これもちょっと不思議でしょ」と次々楽しそうに紹介してくれている感じで、とても柔らかいです。

 さらには、「リケジョに続け”ドボジョ”国交省が五年で倍増方針」というテレビ朝日のニュースを見たときに、「ドボジョ」という語に初めて出会いました。「ドボジョ」が片仮名で書かれていたにもかかわらず、意味がすぐに理解できたのは、「リケジョに続け」という表現が直前にあったからです。「リケジョ」が理系女子であることは知っていましたので、「ドボジョ」は土木女子のことだろうと思ったわけです。しかも、直後に「国交省」があり、その前身が建設省であることを考えると、これは間違いないだろうと思いました。これは、文脈を生かした類推の例です。 (本文より引用)

  インターネットを見ていると、対義語をつぶやいている人の数に驚かされます。

「『赤の他人』の対義語って『白い恋人』?」
「『鳥貴族』ってもしかして『魚民』の対義語だったのか」
「『天使のブラ』の反対って『鬼のパンツ』ですかね」
「『黙れ小僧!』の対義語は『何か言えジジイ!』かな」

 などを見ていると、笑いが止まりません。 (本文より引用)

 本文から二箇所引用しましたが、こういう文章を読むと、この人、言葉を凄く面白がっているんだなー、と感じます。釣られて笑ってしまいます。

 好きだから、一日中考えてしまうんでしょうね。すると、誰もが日常で見聞きしているようなところで、ふと立ち止まって専門的に分析してしまう。

 結果として、誰もが共感するような日常的な例が至るところに散りばめられた、面白い新書ができあがる、というわけなのかな、と。

言葉について考える。

 無理な背伸びをせず、文脈に合った言葉を選ぶだけでよい。変に着飾らず、シンプルな言葉を選ぶだけでよい。言葉の形を強く意識させることを目指すのは素人の発想であり、言葉の形を意識させずに内容がすっと頭に入ってくる言葉選びを目指すのがプロの発想です。

 ところが、この単純で、当たり前のことが難しいのです。 (あとがきより引用) 

 あとがきでは、強すぎる言葉の溢れる現代社会に対する著者の憂慮について書かれています。言葉は、相手に伝えること・伝わることが本質だから、奇をてらう必要はなく、「ごくふつうの地味な言葉で十分」というのが、著者からのメッセージでした。

 確かに最近は、印象的な言葉、インパクトのある言葉、誤解を恐れないような強い言葉が溢れている気がします。

 ネット上でのSEO対策用の、目立つキーワードをぎゅっと詰め込んで作られたタイトルが、ついには書店のあちらこちらの棚まで埋め尽くして飽和状態です。

 記事や本の中身もそうで、たったひとつの結論を強い言葉でめいっぱい武装させて、読んでいる相手に信じ込ませようとするようなものが多くなってきているのではないでしょうか。

 これがまた、誤解をまねきかねないような強い表現は、共感できない側の人間にも、どうにも反論したい気持ちを起こさせるからやっかいです。何でもかんでも炎上商法というわけではないのでしょうが、やはり反感を覚えるからこそかえって否定的なコメントの対象になり、話題になることもあるでしょう。

 よく配慮されてすっと入ってくる、本当にその通りだな、好きだな、と心から思えるものは、気軽なアウトプットの対象にはなりにくいものです。丁寧につくられたものには丁寧なアウトプットをしたくなるからです。誤解されないように注意深くつくられたものに、自分の感想ひとつで妙な傷をつけたくないものです。取り扱いも繊細に慎重になります。

 嫌いなものならぞんざいに扱ってもいいか、と拙速なアウトプットの対象になりえますが、好きなものなら巧遅であろうとしてしまうのが人情というものです。

 いかに嫌いかを語る方が気軽で易しくて、いかに好きかを語る方が腰が重くて難しいとは、なかなかうまくいきませんね。

 でも、どうせ言葉を尽くすなら、好きなものを紹介するのに尽くしたいと思います。

 思うところの多い本でした。おすすめなので興味がわけば是非読んでみて下さい。

 おわり。

『羊と鋼の森』を読んで考える音楽と言葉。

 『羊と鋼の森』は凄く面白かった。

羊と鋼の森

羊と鋼の森

 

  すとん、と胸の中の収まるべきところに収まっていくような文体で、あっという間に最後のページに辿り着いていました。

 放課後の体育館で「秋の夜の森のような音」に出会った外村が、調律師になって、迷いながらも少しずつ成長していく過程を丁寧に描いた小説です。言葉一つ一つが印象的で、小説と詩の合間みたいな読み心地です。

 片付いた部屋で、夜になってから静かに読みたい本です。

 今年度の本屋大賞受賞とのことなので、興味がわけば是非読んでみて下さい。

 

音を言葉で表すということ。

表現は限りなく多様。

 秋の、夜、だった時間帯が、だんだん狭く限られていく。秋といっても九月、九月は上旬。夜といってもまだ入り口の、湿度の低い、晴れた夕方の午後六時頃。町の六時は明るいけれど、山間の集落は森に遮られて太陽の最後の光が届かない。夜になるのを待って活動を始める山の生きものたちが、すぐその辺りで息を潜めている気配がある。静かで、あたたかな、深さを含んだ音。そういう音がピアノから零れてくる。 (本文より引用)

 昔ちょっと吹奏楽をやっていた私にとって、「音を言葉で表す」というのは慣れ親しんだことであり、鬼門でもあります。他人に伝わる表現難しい!

 頭の中で鳴っている音そのものをパーンと鳴らして共有できれば良いのですが、そんな技術はない! ので、先に言葉を通じてイメージを共有し、メンバーで共有したイメージに沿う一音、フレーズ、和音を目指して練習を重ねていきます。

 たとえば、形容詞を使うことがあります。「重い」「軽い」「硬い」「柔らかい」「甘い」「切ない」「堂々とした」「張り詰めた」などの形容詞を並べて、こういう音を鳴らせ、と言ったり言われたりするわけです。

 擬音語も使います。「パーンッ」「とーん」「ぅわあーん」「タリラリラッ」などを、アクセント目一杯つけて音程つけて指示や会話の中で飛び交わせるわけです。声の表現力がモノを言います。比較的、誤解なく意図する方向が伝わる可能性が高いです。

 擬態語も使います。「しっとり」「きらきら」「さらさら」「ゆらり」などです。擬態語はかなり解読難易度が高い方だと思います。さらさらした音って何だよ‼︎ ってなります。きらきらした音という表現を好む人を知っていますが、私はそれを聞くと即座に脳内にグロッケンの音が鳴り響いて管楽器への変換がききません。

 引用部分のように、風景描写や心理描写が始まることもあります。「薄く雲がたなびいた夕焼け空みたいな」「切なさを我慢して、高まって高まって、突然解放されるような」などです。曲そのもの、もしくはフレーズをこう吹いてほしい、と要請するときに使われやすいです。

 なお、精密な描写的表現を好む人は、頭の中ですでにイメージが具体的な音として鳴っている場合が多く、他の人と意見が対立した場合でも折れない人が多い印象です。メンバーの中に二人も三人もこういう人が居ると、調整に難航します、が、場が詩の朗読会の様相になって楽しいです。

音楽は凄く精密な言葉。

 さて、引用部分は、調律中のピアノの、何度も繰り返される単音の、最終的に到達した音色を表すために189文字使っています。これ擬音語に起こすと「ポーン」です。「トーン」かもしれませんが。三回繰り返しても「ポーン、ポーン、ポーン」です。

 何が言いたいかというと、たかが「ポーン」を表すために、言葉に起こすと何文字費やしても足りやしない! ということです。たかが「ポーン」ですよ!

 でも、これがもし、主人公と同じように、ひとけのない体育館の隅に居て、実際に調律師が鳴らす音を聞いたら、その「ポーン」だけで189文字費やされた「秋の夜の森のような音」だということが瞬時に実感できるんでしょう。

 厳密には、全員がその音を聞いて「秋の夜の森」を想像するかというとそんなことは決してないでしょうが、「秋の夜の森」と共通性のある、そのピアノのその音の纏う、一種の空気感的なものを理解できるんだろうな、と思います。

 音楽は万国共通の言葉である! と言いますね。日本語で「悲しい」って言ったり書いたりしても、日本語知らない外国人には通じません。でも、日本で作られた悲しい曲を聞いてもらえば、極論日本を知らない外国人にも「悲しい」だけは通じます。

 個人的には、音楽は、ただ万国共通であるだけでなくて、凄く精密な言葉なんじゃないかと考えています。言葉では伝えきれないぐらいの細かなニュアンスまで、その一音、フレーズ、和音が表現できる場合がたくさんあるような気がします。

 たったの一音に189文字もの情報量が含まれているとしたら、一曲の情報量はどれだけ膨大になるんでしょうか。

 自分がちゃんとそれだけのことを受け取れているのかな、というのも疑問ですし、音楽を本当に細部の細部まで受け取れるようになったら、それだけで人生が変わりそうです。

 少し話が変わりますが、聞いたところによると、人間の脳は老化によって確かに衰えるけれども、抽象的なものを捉えたり表現したりする能力は、年を経るほどに研ぎ澄まされていくそうです。そして、指揮者などはその筆頭で、年輪を重ねるほど、より深みがあり、繊細な表現をすることができるようになっていくとのことでした。

 『羊と鋼の森』の著者も、五十歳も間近になってくるぐらいのお年とのことで、だからこそ音楽と言葉を結びつけて収めるような文章が綴れるのかな、と思いました。

 きっと音楽を聴く能力というのも年をとればとるほどに育っていくものなのでしょうね。

 そう思うと、何だかこれから年をとっていくのが楽しみです。

 結論、音楽は聴くのも吹くのも読むのも好きです。改めて、やっぱり好きだー音楽好きだー! って思いました。

 これからもたくさん音楽聴いてたくさん本を読みます!

『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』で才能に目覚めてみた。

 

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす

 

  紀伊國屋のフレッシュマンフェアででかでかと宣伝されていて、気になって買ってしまいました。ひと昔前にブログ界隈で流行した本らしいです。

 本の裏表紙あたりに袋とじがくっついており、そちらに記載のアクセスコードを使ってネット上で強み診断を受けることができます。アクセスコードの利用は一回こっきりです。まあ、1700円ぐらいで本格的な診断を受けられるなら安いっちゃ安い気もします。

 アクセスコードだけ売ってないのかなー、とちょっと探してみましたが、ありました。公式サイトで15$(現時点のレートで1638円)だそうです。大差ないにも程があるので普通に本買ったらいいと思います。

 

私の五つの才能。

 個別化
 回復志向
 成長促進
 親密性
 共感性 でした。

 個々に詳しく見ていきます。

個別化

「個別化」という資質により、あなたはひとりひとりが持つユニークな個性に興味を惹かれます。あなたはひとりひとりの特徴や個性を覆い隠したくないので、人を一般化したり、あるいは類型化することに我慢できません。むしろ、個人個人の違いに注目します。あなたは本能的にそれぞれの人の性格、動機、考え方、関係の築き方を観察しています。あなたはそれぞれの人生における、その人にしかない物語を理解します。この資質によって、あなたは、友達にぴったりの誕生日プレゼントを選んだり、ある人は人前で誉められることを好み、別の人はそれを嫌うことを分かったり、一から十まで説明して欲しい人と、一を示せば十を知る人とに合わせて、教え方を調整できたりするのです。あなたはほかの人の強みをとても鋭く観察する人なので、ひとりひとりの最もよいところを引き出すことができます。この個別化という資質は、あなたが生産性の高いチームを作ることにも役立ちます。完璧なチームを作るに当たり、チームの「組織構造」や「作業手順」に着目する人もいますが、あなたは優秀なチーム作りの秘訣は、各自が得意なことを充分に発揮できるような、強みに基づく配役である、ということを本能的に知っています。 (本文より引用)

 特に納得できる点については太字にしてみました。個別化=ひとりひとりの違いをよーく見てるよーそして合わせるよーって感じでしょうか。

 確かに人のことを一般化するのも類型化するのも違和感があります。一つの言葉で全体を括るような表現の仕方が好きではなくて、自分自身やってしまいがちではあるのですが、後から反省することがあります。

 人の話を聞いていて、一冊の本みたいだなーと思うことがあります。なので、似たところのある話を聞いても、「◯◯の話」フォルダにファイリングするというよりは、別個の本として本棚に並べていくようなイメージで記憶を整理する傾向があります。

 小さなことだと、その人が使う「言葉」を合わせることが多いです。昔楽器をやっていた頃、恐らく全員がある程度同じイメージを共有しているにも関わらず、言葉としては「響きのある音」「深い音」「よく鳴っている音」「芯のある音」など、それぞれに好みの表現を使っているという場合がよくありました。たとえ自分自身ぴんとこない表現でも、無意識に相手に言葉を合わせて喋るようにしてました。

回復志向

あなたは問題を解決することが大好きです。さらなる困難に遭遇するとうろたえる人もいますが、あなたはそれによって力を与えられます。あなたは症状を分析し、何が悪いのかを突き止め、解決策を見い出すという挑戦を楽しみます。あなたは現実的な問題を好むかもしれないし、抽象的な問題、あるいは個人的な問題を好むかもしれません。あなたはこれまでに何度もぶつかって、解決できる自信がある分野の問題を探し求めるかもしれません。あるいは、複雑で馴染みのない問題に直面したとき、あなたは最もやり甲斐を感じるかもしれません。あなたが実際に何を好むかは、あなたの他の資質や経験によって決まるでしょう。しかし確実に言えることは、あなたは物事に再び生命を与えることを楽しんでいるということです。底に潜む要因を明らかにし、その要因を根絶し、物事を本来あるべき輝かしさへ回復することを素晴らしいと感じるのです。もしあなたの介入がなかったら、たとえばこの機械は、この技術は、この人物は、この会社は、機能を停止してしまった可能性があると本能的に分かっています。あなたがそれを直したのです。それを蘇生させ、活気を取り戻させたのです。あるいは、あなたらしい表現で言えば、あなたはそれを救ったのです。 (本文より引用) 

 回復志向=問題の要因を突き止め、それを解消して回復させることが好きだよーって感じでしょうか。

 昔から、困ったちゃんの対応が割と好きです。「何でこの人こんなに困った人なのかなー」と考えて、本人と交流しつつ「あーこの人こういうところがあるから困った風になっちゃうんだなー」と理解を深め、「それならこういう接し方をすれば困った度が軽減されるかなー」もしくは「周りにこういうフォローを入れれば円滑にいくかなー」みたいなことを試してみて、効果があると一人そっとほくそ笑みます。

成長促進

あなたはほかの人たちが持つ潜在的な可能性を見抜きます。実際のところ、潜在的な可能性があなたのみている全てであることも多いのです。あなたの考えでは、完全にできあがった人間は存在しません。誰もが進歩の途上にあり、可能性に溢れています。だからこそあなたは人々に惹きつけられるのです。あなたがほかの人と互いに関わりを持つ時、目指しているのは彼らに成功体験をさせることです。あなたは彼らを挑発する方法を探します。彼らの能力を伸ばして成長させるような、興味深い経験を計画します。そしてその間ずっと、あなたは明らかな成長の徴候が現れるのを待ちかまえています。学習によって身につけたり改められた新しい行動、技能のちょっとした向上、卓越性の芽生え、以前ならひとつひとつ意識しながらやっていたことが自然に淀みなくできるようになることなど。これらは人によっては気づかないほど小さな進歩ですが、あなたにとっては、潜在能力が発揮されつつあるという、明らかな兆候なのです。ほかの人に現れるこれらの成長の兆候は、あなたの原動力であり、あなたに力と満足感を与えます。そのうちに多くの人があなたに助けと激励を求めるようになるでしょう。なぜならある段階で、彼らはあなたの助けは心からのものであり、同時にあなたに喜びをもたらすものだと分かるからです。 (本文より引用) 

 成長促進=人が成長する助けになることが私の心からの喜びです! みたいな感じでしょうか。

 これ一番わかるな、と思いました。自分が関わって人がちょっと前進したりすると途端に活き活きつやつやしだします。

親密性

「親密性」という資質は、あなたの人間関係に対する姿勢を説明します。 簡単に言えば、「親密性」という資質によって、あなたはすでに知っている人々に引き寄せられます。あなたはかならずしも未知の人たちと出会うことを避けているわけではありません。事実、知らない人と友人になるスリルを楽しむような他の資質を、あなたは持っているかもしれません。しかし、あなたは親しい友人のそばにいてこそ、大きな喜びと力を得るのです。あなたは親密であることに心地よさを感じます。一旦最初の関係ができあがると、あなたは積極的にその関係をさらに深めようとします。あなたは彼らの感情、目標、不安、夢を深く理解したいと思っています。そして、彼らにもあなたを深く理解してもらいたいと願っています。あなたは、このような親密さがある程度の危険性を含んでいることを知っています。あなたは利用されるかもしれないのです。しかし、あなたはその危険性を進んで受け入れます。あなたにとって人間関係は、それが本物である時のみ価値を持ちます。そして、それが本物であるかどうかを知る唯一の方法は、相手に身を委ねることです。互いを共有すればする程、お互い危険性も大きくなります。お互い危険性が大きくなればなる程、自分たちの意思が本物であることを、よりはっきりと証明できるのです。これらが真の友情を築き上げるためのひとつひとつのステップであり、あなたはそのステップを喜んで進めて行きます。 (本文より引用) 

 親密性=人と親密になりたいよー誠実な関係を築きたいよーみたいな感じでしょうか。

 確かに信頼関係ができている人と居る方が落ち着きます。後、仲良くなりたいなら先に信頼を示すべきかなーとも思っています。

 

共感性

あなたは周囲の人の感情を察することができます。彼らが感じていることを、まるで自分自身の気持ちであるかのように感じることができます。本能的に彼らの眼で世の中を見ることができ、彼らの見方を理解できるのです。あなたは必ずしもそれぞれの人の物の見方に賛成するわけではありません。必ずしも一人ひとりの困難な状況を哀れむわけではありません――哀れむのは、共感ではなく同情でしょう。あなたは必ずしも、それぞれの人の選択を受け入れるわけではありませんが、理解します。そして、この本能的な能力は素晴らしい力を持っています。あなたには言葉に表せない問いかけが感じられます。あなたは人々が必要としていることが分かります。他の人が言葉を探して苦労しているとき、あなたには適切な言葉や適切な言葉のトーンが自然に出てくるのです。あなたは、人々が自分の感情をうまく言い表せるように手助けします。あなたは、彼らが感じていることを表現するのを手助けします。この素晴らしい力によって、人はあなたに惹かれるのです。 (本文より引用)

 共感性=人の気持ちと自分の気持ちを重ねられるよーみたいな感じでしょうか。

 確かに周辺の人間関係中では随一のもらい泣き率を誇っています。本でも映画でもテレビでも、お涙頂戴系ではもれなく泣きます。2chの泣けるコピペまとめではむせるほど泣きます。

 そして、世界の事故100選みたいな痛い系の番組は一切見れません。あいたたたたたたたたたたたた……ってなります。

 番外として、人ののろけ話は買うほど好きです。幸せな話聞くと幸せになれるよ! 深町なかとかべんたぶとか蒼井ブルーとか大好きです。本買いました。気になった方はそれぞれの方のTwitter是非覗いてみて下さい! きっと幸せになれます。

 

まとめ。

 当 た っ て る … … !

 ちょうど今、前職では「何か違うなー」と思ってたことが、転職して「そうそうこんな感じが良かったの!」ってなってるんですが、割とこの診断結果に沿った形で何か納得していまいました。

 著者曰く、あくまで診断結果は「種」であって、今後知識をつけ技術をつけ花を開かせる役に立ててほしいとのことだったので、これから頑張っていこうと思います。

 さて、ちゃんとした性格診断というと、SPIで受けさせられるアレが一番頭に思い浮かんでくる人が多いような気がします。

 SPIの診断とこの本の診断の最も大きな違いは、SPIは「各項目には相反性がある」として診断しており、この本は「各項目には相反性がない」として診断していることでしょうか。

 要するに、SPIだと「内向的だけど新しい人と出会うのも好き」はなにそれ矛盾してるよ! って結果が出ますが、この本の場合だと「内向的だけど新しい人と出会うのも好き」はうんうんそういう組み合わせも当然あるよーって結果が出ます。なので、質問に回答してても、あれーさっき答えたのとこれって矛盾すんのかなーうーんどうしよー、みたいな変な葛藤を覚えずに済みます。

 SPIの性格診断って露骨に矛盾を暴こうとしててすっごい答えづらいじゃないですか? 私だけですかね。

 診断そのものがまず楽しいです。加えて、文章が物凄く褒め倒しなので、自分には現れなかった特徴について読むのも、他人に対する褒め言葉のストックが増えて良い感じです。

 こういうの好きならおすすめです。是非一度やってみてください。